はじめまして、泥棒です。
そんなこんなでハルヒと泥棒らしき人は第三資料室に向かって走っていた。
その途中すれ違う生徒がその姿を見て何やら悲鳴をあげている。
「やっぱ、ハルヒちゃん人気だねぇ。皆ハルヒちゃん見て喜んでるよ。
手でも振ってあげたら?」
「あぁ、はい。」
ハルヒは素直に従って、すれ違いざまに手を振ってみる。
すると女生徒の悲鳴がなおいっそう大きくなった。
「ははは、やっぱりハルヒちゃんって面白いや。」
そのときすれ違いざまに『様!!』と声をかけてきた女生徒達がいた。
様・・・?
「あ、どうもー。」
ハルヒが不思議に思っていると、泥棒らしき人が笑顔で手を振った。
女生徒は顔を真っ赤にして隣の友達と喜び合っている。
・・・・どういうことだろう。やっぱりこれだけ格好良いとファンがいるのかな。
って事はこの人、桜蘭の人なんだ。
真相を確かめようと声をかける。
「あの・・。」
「あ、着いたよ。ここ、第三資料室。」
「え。」
ホントだ、第三資料室って書いてある。
二人が部屋の前にたどり着いた途端、中からドアが開いて誰かが出てきた。
「やっぱりハルヒ迷ってるんだよ!!あぁーゴメンよハルヒ、今助けに行くからねー!!」
「・・・・・何やってるんですか、先輩。」
「・・・・・あれ、ハルヒ。」
環は驚きを隠せない様子でハルヒを見つめている。
一方でハルヒは呆れ顔で見つめ返した。
「何やってんだよ、タマ。アホにしか見えないぜ。」
「・・・・。あれ?あれ?何で二人?・・・・・・あぁーっ!!!!!!」
環が突然大声をあげて二人の間に割り込んだ。
「何なんですか一体。」
「て、て、て・・・・。」
「て?」
「何で手をつないでるんだ!!!!!!俺だってまだなのにぃ!!」
「・・・・あぁ、そう言えばつないだままだったね。」
「そうでしたね。」
かなりクールな二人の反応に環が表情をかえる。
「そうですねじゃないっ!!うわーっ母さーんっハルヒがー!!!」
環がドアを開けて中に向かって叫ぶと眉間にしわを寄せた鏡夜が出てくる。
「うるさいぞ。・・・・、とハルヒか。どうやら迷いはしなかったみたいだな。」
鏡夜の返事に環がショックを受けてよろりと倒れこんだ。
「はい、あの、何とか。」
そんな事も気にせずにハルヒは鏡夜のほうを向いて答える。
「悪かったな。昨日のうちに伝えておけば良かったんだが。」
「そうだよ。ハルヒちゃんがかわいそうだろ、ねぇ。」
「いえ、別に自分は・・・・。」
「・・・っとこんな事してる場合じゃなかった。鏡夜、あとどれくらいで終わる?」
「そうだな、一時間弱はかかるんじゃないか?」
「そう?ならいいや。それじゃ俺仕事があるから行くねー。
ほーら、タマも拗ねてないで、一応部長なんだろ?」
その言葉に環が反応する。
「一応じゃないっ!」
「はいはい。じゃあがんばってねー。それじゃ、またねハルヒちゃん。」
と言うらしき人はひらひらと手を振ってもと来た道を帰っていく。
ハルヒも手を振り返す。
あ、そう言えば。
「あのっ!!」
ハルヒの声には立ち止まって振り返る。
「なに?」
「な、名前・・。」
「あぁ、言ってなかったっけ。」
はニッコリと笑った。
「初めまして、ホスト部美術係の です。これからよろしくね。」
それだけ言うとまた前を向いて歩いていってしまった。
ハルヒはその背中をただ見つめていた。
何か面白い人だなぁ・・・・。
そして密かに笑った。
その姿を見ていた環は何か思いついて急に慌て始める。
「は、ハルヒ?もしかして、のこと・・・!?」
「バカなこと言わないでください。」
「二人とも。ミーティング始めるぞ。中に入れ。」
「はい。」
「ちょっ・・・ハルヒぃー!!!」
「そういえば、鏡夜先輩。」
後ろで叫んでいる環を無視してハルヒは気になっていた事を聞く。
「何だ?」
「美術係って何するんですか?」
鏡夜は意味深な表情をした。
「あぁ、戻ってみれば分かるだろ。」
「・・・・?」
一時間後、ハルヒの目の前にはアラビアの世界が広がっていた。
「これって・・・。」
ミーティングが終わったあと戻った第三音楽室の入り口でハルヒは驚いていた。
「へぇー今日はアラビアンな感じなんだ。」
「でもあの宮殿みたいなやつ、どうやって作ったんだろうね。」
「すっごいねぇーvねぇ、崇v」
「・・・・・そうだな。」
「ハルヒ?どうしたんだ?気分でも悪いのか?何だったら俺の胸に・・・。」
「お断りします。」
「・・・・うぅ。」
「どうだ?分かったか?」
「はい・・・先輩って・・・何者なんですか?」
「・・・・さぁな。」
鏡夜はまた意味深な表情を浮かべた。
ハルヒの疑問は増えるばかりだった。