「ディーノ、今日もボロボロだな。だっせーの。」
「ちょっとドジっただけだ。」
「ハイハイ、そこ座れよ。」
めずらしく、素直に指示に従ったディーノの頬の傷に、
わざと大量の消毒液を吹きかけてやった。
「っつ!?」
勢い良く立ち上がったせいで、椅子ががたんと音を立てて倒れた。
「おいおい、何やってんの?動いたら手当出来ないだろ―。」
椅子を起こしてやって、肩を押さえつけて座らせた。
こっちを睨みつけるディーノの目が涙目でマジ笑える。
「笑うなよ。」
急に真剣な表情と声音になったディーノ。
そう、それで良い。
そうでなくっちゃ面白くない。
「悪かった。・・にしても、今でもこんな様子じゃオレを倒すなんて、
まだまだ先の話だな、残念残念。」
頬の傷にばんそうこうを貼り付けて、そのまま両手をディーノの首に掛ける。
「・・・でも、その前に殺されるかもね。」
「お前にか?」
ディーノがおかしそうに笑う。
両手に少しだけ力を込めた。
ディーノは顔色一つ変えずにオレの行動を見ている。
「オレ以外に殺されるつもりなんだ?」
ディーノがオレの両手首に手を添える。
そして、笑った。
「殺してみるか?きっと楽しいだろうな。」
だんだんと加えられる力に、手首が悲鳴をあげ始める。
もう、力じゃ敵わない、か。
「そうだね、きっと至上最悪に楽しいだろうね。だから。」
ぱっと首から手を離す。
同時にディーノの手も離れた。
「それはまだ先に取って置くことにするよ。
オレっておいしいものは、最後に食べる派なんだよね。」
にっこりと笑ってみせると、ディーノは声をあげて笑った。
「だったら、」
ゆっくり立ち上がると、今度は不敵な笑みを浮かべる。
「せいぜい待ってろよ。きっと、
俺がお前を至上最高の気分にさせてやるから。」
そういうと、手でピストルの形を作って、オレの頭に当てた。
オレは目を閉じる。
BANG!!
ディーノが笑って呟いた。
ディーノ。
キミはいつかオレをひれ伏せさせてくれる?
オレだけの、主君になってくれる?
ねぇ、楽しみにしてるんだよ?
はやく、はやく追いついて。
そしてオレ、を、
デザインされたのは、死か?それとも、