『アンタさ、こんな事してて本当に楽しいワケ?』
『あたりまえでしょ?こうやって2人で
こんな風にすごせるなんて夢みたいだよ、今でも。』
『夢?』
『うん、夢。俺が生まれて初めて願った夢。』
『・・・・・?』
『ふふ、叶ってよかったぁー。やっぱ俺ってラッキー!』
何がラッキーだよ。
アホだよ・・・・本当に。
くだらない事願って。
そんな事で運つかって。
だから・・・。
『あーあ、俺、今死んでもいいや。』
『・・・は?急に何なわけ?』
『あ、やっぱダメ。今は死ねない。
せっかく切原君が俺の事好きになってくれたのに、もったいない。』
『・・・・・・オイ。いつ俺がアンタを好きになったって?』
『えー?今現在そうでしょ。』
『・・・・・勝手に言っとけよ。』
『ハハっ。うん、言っとくー!切原君、大好き。』
『・・・・・・ウザイよ、アンタ。』
『ウザくていいんだよ。しつこい位じゃないとキミ、冷めるだろ?
それに、好きになったら一途なんだよ俺は。』
『ウソつけ、この女タラシ。』
『あ、気にしてくれてるんだぁー。大丈夫、本命にはホント一途だから。
今はキミだけ。いや、これからもずっと、かな?』
やっぱ、嘘つきじゃん。
何がずっと、だよ。
できもしない事言うなよ。
アンタがあんな事言ったから。
オレが、こんなに。
こんなに。
『ねぇ、切原君。一度で良いから俺の事名前で呼んでよ。
何なら呼び捨てでもいいからさ。』
『は?何でオレがそんな事・・・。』
『嫌?簡単な事なのに。』
『っ・・・・。』
『うーん、しょうがない。分かったよ。じゃあ、こうしよう。』
『何だよ。』
『もし、切原君が俺の事ちゃぁんと好きになったら呼んでくれる?
まぁ、今でも好きだとは思うけどね。』
『だからっ、いつオレがアンタをっ!!』
『うん、分かってるよ。だから、ね?
俺、楽しみにしてるから。あ・・・・』
『・・・あ?』
『・・・・・赤・・・也・・・君。うわぁー!!なしっ、今のなし!
聞かなかった事にして!あぁもう、』
『んだよ、アンタも照れてんじゃん。』
『俺はいつも切原君って呼んでるから、慣れないだけだよ・・・・
って、もしかして切原君照れてるんだ?』
『・・・・んなワケねーだろ。』
『ふーん、ま、いっか。とにかく、待ってるから。俺ずっと待ってるから。』
待ってなくて良かったのに。
アンタは幸せになれるはずだったのに。
オレなんかに構ってないで、もっと別の奴好きになればよかったんだ。
そしたらこんな事にはならなかったかもしれないのに。
『切原君は、優しいから。だから半端な気持ちじゃ俺の事呼んでくれないよね。
分かってるから。だから、呼んでくれたときには俺、マジ泣きしちゃうかも。』
『・・・・勝手に・・』
『うん、勝手に待ってる。俺は勝手に待ってるから、切原君は考えるだけで良いんだよ。
俺はここに居るから。』
『・・・・。』
なぁ、いつまでも待ってるんじゃなかったのかよ。
オレがアンタの名前呼ぶの楽しみにしてるんじゃなかったのかよ。
オレ、どうしたらよかった?
あの時すぐにアンタを抱きしめて、
そんで名前呼んであげたらよかった?
そしたらアンタは幸せになれた?
『幸せって、本当にいいね。』
『・・・・・アンタって時々良く分からない。』
『良いんだよ分からなくて、今は。絶対分かるから。
だから早く俺のこと清純って呼んでね。』
『・・・・・・・分からなくていい。』
『うん。今はね。』
幸せなんていらないほど感じてたんだよ。
アンタがいて、それで笑っててくれたら。
オレはそれで幸せだった。
知ってたんだろ?
知っててあんな風に言ったんだろ?
知っててあんな風に笑ったんだろ?
アンタの事だからきっと、
オレのことなんて全部お見通しだったんだろうけど。
それでも、待っててくれるって言ったんだろ。
「くそっ・・・・・。」
じゃあ何でオレは今、こんな所に一人で居るんだ。
何でこんなに涙が流れるんだ。
何で、アンタはここにいないんだ。
何で、もう笑ってくれないんだ。
「・・・・・・清純・・・きよ・・・す・・・み。」
そんなに呼んで欲しいんならいくらでも呼んでやるよ。
嫌だって言ってもやめてやらない。
ずっと、ずっと呼んでやるから。
だから・・・・もう一度。
『切原君、大好き。』
笑って?