朝起きて、太陽の光を目で捕えて、そしてやっと。

まだ私がここにいることを実感する。

まだ私が私として生きて良いんだって安心する。

本当に色んな事があった。

苦しくて苦しくて、消えてしまいたかった。

逃げてしまおうとしたこともあった。

・・・でも、結局できなかった。

守るべきものを見付けてしまったから。

この世で一番大切なものに気付いてしまった。

だから、私は戦った。

大切なものを守るために、戦って戦って。

ボロボロになった時もあったけど、でも頑張れた。

だって、私にはみんなが居たから。

立ち止まってた私の背中をそっと押してくれる人達が居た。

愛してくれる人が居た。

だから、負けなかった。

ここまで来ることができた。

生きることができた。


「沙夜っ、そろそろ起きねぇと遅刻すんぞ!」


「あ、うんっ今行く!」


今こんなにも幸せなのは、みんなのおかげ。

カイの・・・おかげ。

最後まで側に居てくれると言ってくれた。

嬉しかった。

けど、それ以上に悲しかった。

カイには幸せでいてほしい。

いつも笑っていてほしい。

だから。


「さーや。なにやってんだよ。もう朝飯食ってるヒマねぇぞ?」


「えっ?嘘っもうこんな時間!行かなきゃ・・・」


「あっオイ沙夜、ちょっとまて!弁当!!」


「あっゴメン!ありがと、カイ。」


「ったく相変わらず騒がしいんだからよお前は。」


「ゴメンなさい・・・。」

「今日はきんぴらが自信作だ。間違ってもゆで卵じゃねぇからな。」


「了解。それじゃあ、行ってきます!!」


「おー、気を付けて行けよ。」


ねぇカイ?

私はもうすぐいなくなってしまうけど、悲しまないで。

カイのおかげでとても幸せだったよ、私。

最後の最後まで迷惑かけっぱなしだったね。

迷惑ついでにあと一つだけお願いを聞いてほしい。

次、私が目覚めるとき。

その時に必ず幸せでいると約束して。

そして、笑って“沙夜”って呼んでほしい。




「あ、そうだカイ、夕御飯楽しみにしてるね!」

「オイオイ、朝からその話かよ・・・全く。よし分かった、

旨いもん作ってやるからな、覚悟しとけよ?沙夜。」





貴方の笑顔が私の笑顔の源。

だから、ずっと笑っていて。

ずっと、ずっと。