唇に触れて改めて人が温かいことを知る。
すぐに離れようとする身体を強く引き寄せて、
もういちど、とせがむ様に髪を梳く。
ためらいがちに伏せられる瞳に軽く口付けてもう一度。
今度は少しだけ、長く。
「・・っ、ふ・・・ぁ、ロック・・オン。」
小さく合間に洩らされた声。
「・・・もう一回。」
ゆっくりと開かれた瞳が俺を映す。
「もう一回、呼んでくれ。」
少し不思議そうな表情のあと、小さく微笑んだ。
「ロックオン。」
あぁ、そうだ。
この感じ。
これが・・・生きているって、ことか?
「世界は変わらないかもしれないな・・。」
呟きに小さく頷いて俯いた、小さな身体を腕の中に閉じ込めた。
震える背中を撫でながら決意する。
こいつが、少しでも生きやすい世界を遺してやりたい。
だから、変わらなくても・・・。
「変えるさ、俺たちが・・・・・俺が。」
きっかけでも何でも良い。
それが、今の俺のすべきことだ。
俺にしかできないことだ。
「だから、お前は生きろ・・・。」
「ロック、オン・・?」
もし、叶うなら。
願うことを許されるなら。
今だけは、このまま。
もう一度。